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オープンソースによって進化していくSDNの世界
Oct 9, 2013

9月16日に、ジュニパーネットワークスのContrail(SDNコントローラー)をオープンソースにすると発表しました。OpenContrailに関する詳細情報やソースコードなどはこちらのサイト(http://www.opencontrail.org/)から入手頂けます。

OpenContrail.png

この新たな戦略は、ネットワークベンダーとしてハードウェア、ソフトウェアを販売してきたジュニパーネットワークスにとって、大きな意味を持つ一歩ですし、ネットワーク業界をバックグラウンドとする私自身にとっても大きな変化となりますので、今回、オープンソースが起爆剤となっているイノベーションについて考えてみました。

 

  1. オープンソースがもたらすイノベーション

SDNに限らず、近年のITのイノベーションはオープンソースが牽引していると言っても過言ではありません。20年の歴史を持つLinuxに始まり、最近ではモバイル用OSであるAndroidなどもオープンソースとして提供され、あっという間に市場のシェアをとりました。AndroidにもLinuxが使われているので、この成功の背景にもオープンソースのソフトウェアが貢献しています。

 Androidのアーキテクチャ.png

参照元:http://ja.wikipedia.org/wiki/Android

 

では、なぜオープンソースによってイノベーションが起こすことができるのでしょうか?ソースコードを公開する利点は、フリーソフトウェア財団、GNU Projectを設立したリチャード・ストールマンの理念で端的に述べられています。リチャード・ストールマンは「ソフトウェアは特定の国・企業・団体・個人の所有物ではなく、人類の共有財産であり、誰でも開発・供給に参加でき、誰でも自由に使用できるもの」と言っています。言いかえると、オープンソースとは「単一企業のリソースや戦略に縛られず、人類全体のリソースを最大限に有効活用しイノベーションを起こす仕組み」ということが言えると思います。

 

 

 2.  SDNの領域でのオープンソース

SDNの領域では、オープンソースのオーケストレータであるOpenStackやCloudStack、ハイパーバイザーであるKVM、Zen、SDNコントローラーではOpen DaylightやRyuなど様々なオープンソースのソフトウェアが提供されています。

 

SDN Central(http://www.sdncentral.com/comprehensive-list-of-open-source-sdn-projects/)の記事をみると、様々な団体がオープンソースを提供しています。SDNが登場してきた経緯を考えるとオープンソースに向かうトレンドは避けられないと思います。ネットワークの世界は、ベンダーロックインと言われるように、我々のようなネットワーク機器ベンダーがハードウェアとソフトウェアをパッケージ化し参入障壁が高くイノベーションが起きにくい構造でした。この構造改革がSDNの大きな目的となっているので、ベンダーロックインを回避するという観点から、SDNの世界ではオープンソース化の流れはどんどん進んでいくと考えられます。

 

また、オープンソースの世界は、各役割を担うソフトウェアは一つに収斂していくのではなく、LinuxとFreeBSDのように複数の選択肢が切磋琢磨しながら、時間をかけて改良されていくものだと思いますので、OpenContrailもSDNのイノベーションの一つの選択肢として貢献できると考えています。

 

 3.  オープンソースでのビジネス

オープンソースを使って成功した代表的な企業として、Red Hatが挙げられます。Red Hatのビジネスモデルは、ソフトウェアを自社開発して販売するのではなく、オープンソースのソフトウェアに付加価値を与えるサポートとサービスによって利益を得るモデルで、このビジネスモデルは10年前には成立しないと思われていましたが、試行錯誤しながら着実に成長し、2012年には10億ドルを超える売り上げをあげるまでに成長しています。http://japan.internet.com/busnews/20120330/3.html

 

オープンソースのソフトウェアはコストを抑えられるということで注目される一方、サポートに不安を抱えていて、オープンソースで大きくジビネスを成功させることは難しいと思われていました。その中でオープンソースのビジネスモデルが成立することを証明したという点で、Red Hatの功績は偉大だと思いますし、これからオープンソースのビジネスを始める我々としても参考になるところが大きいと感じています。

 

まとめ

ジュニパーネットワークスも、今までの製品を開発するにあたって様々なオープンソースのソフトウェアを活用してきました。今回、自らのソフトウェアであるOpenContrailをオープンソースとする大きな一歩を踏み出したので、たくさんの人にコミュニティに参加して頂き、この取り組みを通じてSDNのイノベーションに貢献ができることを期待しています。

 

 

Picture2.jpg長滝信彦

サービスプロバイダービジネス統括本部

営業開発本部 チーフアーキテクト

 

ネットワーク業界、特にIPルーティングに深い知識と経験を持つ。日本と米国のサービスプロバイダーのネットワークエンジニアを経て、2002年にジュニパーネットワークスに入社。現在は、大手サービスプロバイダーを担当。ジュニパーのネットワークの世界におけるイノベーションをエンドユーザへ届けることをミッションとする。

 

※ご意見やご質問など、是非otoiawase@juniper.netにメールを頂くか、コメント欄やTwtitter(@Juniper_Japan)からお寄せください。

 

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