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SDNの今後の展開。クラウドの次はモバイル?
Sep 4, 2013

日本ではSDN/Openflowの議論が数年前から盛り上がっていますが、昨年からクラウドを中心に商用ネットワークへの導入が始まっています。例えば、GoogleやNTTコミュニケーションズがOpenflowをデータセンターに導入していますし、今年のOpen Networking Summitでは、MicrosoftがNVGRE、EbayがNiciraのオーバーレイ技術を採用したと発表しました。

 

今回は、なぜクラウドでSDN技術の導入が先行しているのか?今後、どのような分野でSDNの技術が使われていくのか?という点について考えてみたいと思います。

 

1.   SDNはどのようにして生まれたのか?

SDNという言葉は、Openflowの標準化の過程で生まれてきました。Openflowの生みの親である現VMware(元Nicira NetworksのCo-Founder & CTO)のMartin Casadoが、2011年のOpen Networking Summitで、Openflow開発の経緯を講演しています。

 

~(Martin Casadoの講演は下記を参照して下さい)~

http://www.publickey1.jp/blog/11/openflow_open_network_summit_2011.html

 

Openflowの発想は、彼が米国国防省のインテリジェントセンターでネットワークを管理していた時に、ネットワークの管理があまりにも複雑であることにショックを受けて、管理の複雑さを解消するために、ネットワークをプログラミングしたいと考えたことから生まれました。(国防に関わるミッションクリティカルなネットワークですので、一つのミスがまさに人命にかかわるということもあったのではないかと想像します)

 

このような課題を、汎用的なハードウェアの上に抽象化レイヤをのせて、上位のアプリケーションが自由にハードウェアを制御できるアーキテクチャで解決しようとした試みがOpenflowです。Openflowのアーキテクチャでは、上位レイヤのビジネスフローやアプリケーションの命令を、自動的にネットワークに適用できるようになり、SDNという言葉も生み出しました。そのため、業界から大きな注目を集め、ベンダーロックイン回避というような言葉も出てきました。

 Juniper0904.jpg

(参照元)http://www.publickey1.jp/blog/11/openflowsoftware-defined_networkos.html

 

上記が、従来のネットワーク機器のアーキテクチャとOpenflowが提唱するアーキテクチャを比較した図となりますが、右側のアーキテクチャは左側に比べて、よりオープンになっていることがお分かり頂けると思います。Network OSのところは、通信事業者が開発することも可能ですし、ネットワーク機器ベンダー、ソフトウェアベンダーが提供することも出来ますので、非常に柔軟なモデルであると言えます。

 

2.   SDNの適用領域はどこか?

Openflow、SDNが生まれてきた背景、基盤となる技術がコンピューティングであることを考えると、クラウドに限った技術ではないということがわかると思います。

 

現在、SDNの導入がクラウドで先行している理由は3つあると考えています。

1)    SDNと親和性が高い。

クラウド事業者は従来から、APIを使ったりして自動化や独自サービスを開発しているので、技術の親和性が高い。

 

2)    ソフトウェアを開発できるエンジニアを多く抱えている

・アプリケーションを自由に開発できる。

・ソフトウェアを自社開発するため、開発コストを抑制できる。

 

3)    成長領域であり、開発投資サイクルが早い。

既存のインフラよりも、新たなインフラの方が新しい技術は導入しやすい。クラウド向けの新しいデータセンターがどんどん構築されているので、そのタイミングでSDNの技術が導入されている。

 

以上のような理由から、クラウドでのSDNの導入が先行していますが、今後は他の分野にもSDNの技術は展開されてくと思います。

 

では、次にSDNが展開されていくのはどの分野になるのでしょうか?

私は、以下の2つの理由から、モバイルの分野が候補になりえると考えています。

 

1)    投資のサイクルの早さ

モバイルはクラウドと並ぶ成長領域であり、投資が非常に早いサイクルで回っているため、SDNのような新しい技術を導入する機会が多くあります。

 

2)    ネットワーク機能の仮想化

NFV( http://www.tid.es/es/Documents/NFV_White_PaperV2.pdf )で議論されているネットワーク機能の仮想化技術が携帯キャリアから注目されています。モバイル通信で急激な輻輳などが起きた場合には、柔軟にリソースを確保、リリースしたいという要求があります。この課題を解決するために、「必要に応じて」、クラウド上に仮想化ネットワーク機能を「必要なだけ」展開するようなユースケースが検討されています。

 

ジュニパーネットワークスが第三者の調査会社に委託して実施した調査によると、携帯キャリアの約半数が2年以内のSDN導入に意欲を持っているという結果が出ています。

 

~(以下、抜粋)~

http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/IDG/20130708/489806/?ST=cm-wireless&P=1

「携帯通信事業者の約半数が今後2年以内にSDN(Software Defined Network)を導入し、ネットワークの運用コスト削減や柔軟性向上を図る意向であることが、英調査会社Informa Telecoms&Mediaの調査「Mobile SDN - the Future is Virtual」で明らかになった。」

 

3.   まとめ

SDNは、コンピューティングの進化に合わせたネットワークのアーキテクチャの変化として捉えることができます。SDNという切り口で、Openflowだけではなくて、NFVやOverlayなど様々な要素技術が生まれてきています。今後もインフラ更改のタイミングに合わせて、クラウド、モバイルだけでなく、FTTHやコアなど様々なネットワークにSDNが展開されていくと思いますので、今後の展開がますます楽しみです。

 

 

 

Picture2.jpg長滝信彦

サービスプロバイダービジネス統括本部

営業開発本部 チーフアーキテクト

 

ネットワーク業界、特にIPルーティングに深い知識と経験を持つ。日本と米国のサービスプロバイダーのネットワークエンジニアを経て、2002年にジュニパーネットワークスに入社。現在は、大手サービスプロバイダーを担当。ジュニパーのネットワークの世界におけるイノベーションをエンドユーザへ届けることをミッションとする。

 

※ご意見やご質問など、是非otoiawase@juniper.netにメールを頂くか、コメント欄やTwtitter(@Juniper_Japan)からお寄せください。

 

 

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